
ブルーベリーブルース。
生きていることの嬉しさと哀しさがごちゃ混ぜになって身体を突き抜けそうになったので、とりあえずアパートを飛び出した。じっとしてはいられなかった。走る、走る、走る。初夏の夜は湿った土と草の匂い。ずいぶん走った。とうとう足が止まってしまう。自分の吐く息と心臓の音。半分の月がぼんやりと浮かんでいる。ブロック塀にブルーベリージャムがぶち撒かれている。テラテラとしたブルーベリーが月夜に照らされている。(僕のかわりに)誰かの衝動がそうさせたのか。河原の方から、サックスの音色が風に乗って流れてくる。ブルーベリーとブルースが混ざりあって、僕の一番奥の方にノックした。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。