ピクニックセンス。
恋人でもない、親友でもない。でもなにかと一緒にいる彼から、ピクニックに誘われた。バスケットから出てきたのは、よく冷えた白ワイン、クラッカーとクリームチーズ、枝豆入りコロッケ。(手ぶらでいいよ、は正解だった)しゃべったり、しゃべらなかったりしながら、ワインがゆっくり効いてくる。「はい、これ」。彼から渡されたのは、シャボン玉セット。(もしかして天才かな)明るいブルーの空に向かって、ふーーっ。虹色を映す透明の宝石が、勢いよく生まれていく。あぁソフトクリームの雲に届きそう。私たちって、本当はどういう関係なのかなって、考えようとしたけど。シャボン玉が、次々にパチンパチンと消えていくから、やっぱり考えるのはやーめた。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。