冬の足おと。
ぽかぽかな気持ちで、冬にコンニチハ!ってあいさつしたい。きらきらしながら、石焼き芋を二つにわりたい。思わず蹴った石ころが、宙に浮くのを見届けたい。赤いマフラーに、うっとりと沈みたい。クリームシチューを次の日も、その次の日も味わいたい。電車の中の赤ちゃんの泣き声に、年の瀬を感じたい。冬の足おと、だんだん近づいてきたね。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。
ぽかぽかな気持ちで、冬にコンニチハ!ってあいさつしたい。きらきらしながら、石焼き芋を二つにわりたい。思わず蹴った石ころが、宙に浮くのを見届けたい。赤いマフラーに、うっとりと沈みたい。クリームシチューを次の日も、その次の日も味わいたい。電車の中の赤ちゃんの泣き声に、年の瀬を感じたい。冬の足おと、だんだん近づいてきたね。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。
彼は子どもの頃から、じぶんの夢を秘密にしていた。そんなの無理、と言われることを恐れていたから。あたらしい夢が生まれるたびに、ひとつ、またひとつとポケットの中に押し込んでいった。ポケットは夢で大きくふくらんでいき、ついにポケットは破けて夢がぽろぽろと地面へ落ちていった。道ゆく人たちは夢を拾い上げて、勝手に夢を実現していった。彼は新聞を広げて「これ、実は僕の夢が元になってるんだ」と、恋人に自慢した。次の日、彼は新しいジャケットを着ていた。恋人がプレゼントしたものだった。ポケットにメモが入っていた。(夢はポケットに2個まで。さっさと行動に移すこと!!)
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。
ふわっと映像が浮かんで、
こころが6.6グラム(当社比)軽くなる。
ワンシチュエーションでつづる、
シラスアキコのショートストーリー。
自分がジブンにしっくりくる感じの時は、気分がいい。
こころと身体が同じ歩幅で歩いているのがわかる。
いつもこんな感じで生きていきたい。
でも、かなりの確率でイライラと聞こえてくる
「お急ぎのところ、電車が遅れて申し訳ございません」。
そんな時は“ここじゃないどこか”に、
ジブンをリリースしてしまおう。
きっと気持ちの針が、真ん中くらいに戻ってくるから。
広告代理店でコピーライターとしてのキャリアを積んだ後、クリエイティブユニット「color/カラー」を結成。プロダクトデザインの企画、広告のコピーライティング、Webムービーの脚本など、幅広く活動。著書に「レモンエアライン」がある。東京在住。
color / www.color-81.com
レモンエアライン / lemonairline.com
contact / akiko@color-81.com
◎なぜショートストーリーなのか
日常のワンシチュエーションを切り抜く。そこには感覚的なうま味が潜んでいる。うま味の粒をひとつひとつ拾い上げ文章化すると、不思議な化学反応が生まれる。新たな魅力が浮き上がってくる。それらをたった数行のショートストーリーでおさめることに、私は夢中になる。
イラストレーション
山口洋佑 / yosukeyamaguchi423.tumblr.com