イメージ→チェンジ
前髪は切らないでくださいと言ったのに、美容師さんはザクっと切った。わたしは、あ、という顔をしたけれど、もう取り返しがつかないので、そのままマンガを読むふりをした。くやしくてポロポロと涙がでてきた。美容師さんは、マンガ、悲しいお話なの?と聞いた。わたしは、はい、と答えておいた。美容師さんは髪を切り終え、ケープをはずした。鏡の中のわたしは、短くなった前髪のせいで、眉がくっきりと出ていた。そして目がどんぐりみたいに大きく見えた。泣いたあとの黒目は、ビー玉みたいにキラキラと光っていた。もしかして、わるくないかもしれない。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。