十三番目の女。
映画監督は傷あと治しクリームの雑誌広告に出ていた女性が誰であるかは知らなかったが、強烈に惹かれるものがあった。彼女はストライプの水着を着てハンモッグに横たわり、作り笑いをしていた。手にはパイナップルが刺さった飲み物を持ち、長い脚のラインに沿うように“去年の傷とはさようなら”というキャッチフレーズがイタリア語のタイポグラフィで描かれていた。彼女の瞳はビー玉みたいに大きく濡れ濡れとしていた。人間離れした魅力があった。映画監督は、動いている彼女をどうしても見てみたくなった。今日のオーディションの目的はひとつ。彼女に会うためだった。ドアが開いた。十三番目に現れた彼女は、ゆっくりと映画監督の前に立った。