ひとりテレビ最高な状況。
午後3時、ドラマの再放送を観ながらドーナツを食べている。ひと袋5個入りで、スーパーマーケットから買ってきたもの。たまごの味がしてちょっと固くて、表面には砂糖がまぶしてある。
学校の宿題も、ママから頼まれたリビングの掃除も、ボーイフレンドへのメッセージも、すべてを放棄してテレビの画面に釘付けになっている。コマーシャルのすきにイエローラベルの紅茶をいれる。ストレートで飲む。ドーナツ、紅茶、ドーナツ。それらを交互で味わう。
「絶対にあいつだ」。犯人が誰であるかをひとりつぶやく。自分の声が予想以上に部屋に響いて、少し驚く。窓に目をやると、グレーの空に大きな雲がものすごい勢いで移動している。ドーナツはいつの間にか3個も食べていた。
ドラマの中でやっぱりあの男が、紅茶の中に毒を入れている。