渡り廊下は旅立ちの滑走路。
学校の渡り廊下に、小さな人だかりができている。転校するあのことの別れを惜しんで、クラスメイトたちは手紙を渡したり、一緒に写真を撮ったりしている。中には泣いている女子もいる。あのこはどこか寂しそうに笑うけど、今日はいつもより元気そうに見えた。(僕にはそれが悲しかった)黒い髪の毛を二つに結っているのが好きだった。毎日ゴムの色が違うのも気づいていた。僕は制服のポケットに手を入れて、くるりと振り返るとまっすぐ教室の方に歩き出した。細い雨が降ってきた。あくびをするふりをして、何度も目をこすった。