地球と息をしている。
灰色の雲から、
小さな水分が落ちてきて、
彼女の腕を濡らした。
そっと鼻を近づけてみた。
スモーキーなかおりがした。
こたえは出さないまま、そのまま。
中間のままゆらゆらと漂う。
どこかの家の、
グラスの中の最後の氷が、
無言で溶けて液体にかわった。
一羽の鳥が高く舞い上がると、
もう一羽の鳥と合流する。
二羽の鳥は、灰色の雲に吸い込まれていく。
地球の呼吸は、彼女の呼吸とまったく同じリズムだった。
ゆるやかなカーブを、いま一緒に曲がるところだ。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。