ベストフレンド。
私がクレームブリュレの表面にコツコツと細いひびを入れている時に、あのこは主役のオーディションを受けていた。私が小川に足を浸してパシャパシャと水しぶきをあげている時に、あのこはレッドカーペットを歩いていた。私が空の写真を撮っている時、あのこは50台のカメラでドレス姿を撮られていた。私はいつだって願っていた。それはあのこが夢を叶えること。そして、ふたりが同じ学校を卒業して366日目、ふたりはいつもの橋の上で待ち合わせをした。お互いに駆け寄って、抱き合って、飛び跳ねた。あのこの目は、あの頃と全然変わっていなかった。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。