クロワッサンの夜。
お月さまをソファーがわりにするなって、おととい太陽に小言をいわれたけれど、彼女はまんまるお月さまに寄りかかって今夜も本を読んでいる。お月さまはやわらかくて気持ちいいし、真夜中でも読書灯がいらないし。お腹が空くと、お月さまをつまんでひょいとひとくち。(カスタードあじでおいしい)気がつくとお月さまはクロワッサンのカタチになっていた。「いつのまにかこんなに食べちゃってごめん」と彼女はあやまった。お月さまは「わたしを見てクロワッサン食べたくなるひと、いるだろうなぁ」と笑った。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。