気の抜けた、空気の中で。
シュワシュワのソーダ水を、
透明なグラスにゆっくりと注ぐ。
ワーッと泡が山盛りになったあと、フーッと沈んでいく。
ひとくち口に含んで窓をあける。
ツィーツィーピィーと鳥の声。
姿は見えないけど、きっとカラフルな美しい鳥。
ブルーのストライプシャツは青空とおそろい。
デートをすっぽかしてしまった。
(いちおうれんらくはいれたけど)
ぼんやりとひとりでこの部屋にいたかった。
ひとりで彼のことを思いめぐらすのが、ちょうどよかった。
ソーダ水のシュワシュワは弱まって、甘くなっていた。
うん、このくらい、がちょうどいい。
気の抜けた空気に、じぶんを野放しにする。
こういう時のほうが生きてるなぁと感じる。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。