まぶしそうな目のあのこ。
クラスで3番目くらいに人気のあのこのことを、僕は学年でダントツ1番可愛いとおもっている。いや学年どころか、テレビや映画に出てくる人気者よりも可愛いとおもっている、正直言って。あのこの目はいつもまぶしそう。目の中に、キラキラ光る宝石が入っているに違いない。あんなに綺麗な目をしているおんなのこを、僕は他に知らない。たとえば電車にあのこが乗ってくるとする。するとその瞬間、電車の中が異次元の空間に変わる。つり革につかまっているサラリーマンも、漫画を読んでいる小学生も、ロマンチックな物語に出てくる大切な脇役になる。電車の窓から動き出す景色を、あのこがまぶしそうな目で見る。目から湧きだすヒカリが、ゆっくりと電車の中を満たしていく。とてもしあわせなメロディを奏でるように。(どうしてみんなそのことに気づかないんだろう)勉強もスポーツもぱっとしない僕だけど、あのこの魅力を世界一わかっている自信がある。だから僕は、ドキドキして、あのことほとんど口をきけない。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。