183

好きだらけの日々

エレヴェーターミュージックが好きだから、エレヴェーターに乗る/インクの匂いが好きだから、本を読む/シルバーの重みが好きだから、ステーキを食べる/ピンヒールの音が好きだから、ピンヒールを履く/予告編が好きだから、映画館に行く/ロウソクを消すのが好きだから、ロウソクを灯す/カーボン紙が好きだから、文房具店に行く/搭乗アナウンスが好きだから、飛行場に行く/チーズが膨らむ瞬間が好きだから、オーブントースターを覗く/放送終了の告知が好きだから、深夜までテレビを見る/小鳥の声を聴くのが好きだから、目をとじる/景色が変わるのが好きだから、走りだす

*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。

1
TOP
CLOSE

電車は遅れておりますが

ふわっと映像が浮かんで、
こころが6.6グラム(当社比)軽くなる。
ワンシチュエーションでつづる、
シラスアキコのショートストーリー。

自分がジブンにしっくりくる感じの時は、気分がいい。
こころと身体が同じ歩幅で歩いているのがわかる。
いつもこんな感じで生きていきたい。

でも、かなりの確率でイライラと聞こえてくる
「お急ぎのところ、電車が遅れて申し訳ございません」。

そんな時は“ここじゃないどこか”に、
ジブンをリリースしてしまおう。
きっと気持ちの針が、真ん中くらいに戻ってくるから。

シラスアキコ Akiko Shirasu
文筆家、コピーライター Writer, Copywriter

広告代理店でコピーライターとしてのキャリアを積んだ後、クリエイティブユニット「color/カラー」を結成。プロダクトデザインの企画、広告のコピーライティング、Webムービーの脚本など、幅広く活動。著書に「レモンエアライン」がある。東京在住。

color / www.color-81.com
レモンエアライン / lemonairline.com
contact / akiko@color-81.com

◎なぜショートストーリーなのか
日常のワンシチュエーションを切り抜く。そこには感覚的なうま味が潜んでいる。うま味の粒をひとつひとつ拾い上げ文章化すると、不思議な化学反応が生まれる。新たな魅力が浮き上がってくる。それらをたった数行のショートストーリーでおさめることに、私は夢中になる。

イラストレーション
山口洋佑 / yosukeyamaguchi423.tumblr.com