小指くらいの小さなはなし。
わたしのいちばんどこがすき、と聞かれたから。
僕はマグカップを持つ指のカタチが一番すき、とこたえた。
ガールフレンドの顔はぐんぐん曇っていった。
そしてコートをひるがえして去っていった。
どうして。性格や顔なんかより、
指のカタチが何よりも大切な男だっているのだ。
指ってそのひとらしさ、そのものだとおもうから。
そうだ、僕はガールフレンドの指にふさわしいリングを買おう。
小さな箱につつんでもらおう。
彼女はあの指で受け取ってくれるだろうか。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。