サンドレスの準備。
太陽がじっくりと焼いた砂浜を、裸足で確かめてみる。アチッ!と右足の裏側が悲鳴をあげたから、今度は左足の裏側をくっつけてみると、やっぱりアチッ!となるわけで。すると、右足、左足、と交互にアチッ!アチッ!となるうちに、彼女は海に向かってほとんど走り出していた。意味もなく大笑い。(頭の部品が飛んじゃった)波打ち際に足を浸すと思いのほか冷たくて、ふぅー。めりめりと砂の中に埋もれながら、海と同じ呼吸になれた。準備してきたパイナップル柄のサンドレスは、ディナーの時に着るつもり。「あ、あたしいま、悩みゴトがいっこもない」彼女は自分のおめでたさに感謝した。
*「電車は遅れておりますが」は毎週火曜日に更新しています。