41秒のSF小説。
「ママ、お金ってどこからくるの?」5歳の紳士は空中バスの窓際に座って質問をした。「お金儲けが上手な人に降ってくるのよ。」母親は常温氷でできたブレスレットを、うっとりとながめながら答えた。「じゃ受け止めるために大きな袋が必要だね。」「ううん、お金は透明なの。触ることができないの。でも大昔は紙や金属でできてたらしいのよ。」5歳の紳士は目を見開いて食い下がる。「どのくらい昔?マンモスがいたくらい昔?」すれ違った空中タクシーには、専属のダイエット技師が乗っていた。(来週、体重を3キロ抜いてもらわなければ)母親は窓の外を見下ろして遠い目ををする。「そこまで昔じゃないけど、お金を触ったことがある人は、もう誰も生きてないのよ。」夜のTOKYOは街じゅうが紫色に輝いていた。「ほら、今日はパープルデーよ!綺麗ねー。」