100

おはよう、せかい。

深爪してしまった指先で、こころのカーテンをそっとあける。

朝はふんわりとできあがっていた。地球は正常に運転しているらしかった。

「おはよう」と言ってみた。「おはよう」と跳ね返してきた。

じぶんに風を入れてみた。身体じゅうを駆けめぐって出ていった。

青空を吸い込んでみた。すべての細胞が目を閉じて味わっている。

これまでのじぶんの常識を、消去。

こころの空きスペースはたっぷりある。

今日わたしはデビューした。

 

 

*おかげさまで「電車は遅れておりますが」は、今日で100回目のストーリーになりました。

日常のなかのはみだした数分間、一緒に旅をしていただきありがとうございます!

これからも、ここじゃないどこかに、ひょいとトリップ。

出張先のミラノより。

シラスアキコ

「電車はおくれておりますが」は毎週火曜日に更新しています。

 

 

1
TOP
CLOSE

電車は遅れておりますが

ふわっと映像が浮かんで、
こころが6.6グラム(当社比)軽くなる。
ワンシチュエーションでつづる、
シラスアキコのショートストーリー。

自分がジブンにしっくりくる感じの時は、気分がいい。
こころと身体が同じ歩幅で歩いているのがわかる。
いつもこんな感じで生きていきたい。

でも、かなりの確率でイライラと聞こえてくる
「お急ぎのところ、電車が遅れて申し訳ございません」。

そんな時は“ここじゃないどこか”に、
ジブンをリリースしてしまおう。
きっと気持ちの針が、真ん中くらいに戻ってくるから。

シラスアキコ Akiko Shirasu
文筆家、コピーライター Writer, Copywriter

広告代理店でコピーライターとしてのキャリアを積んだ後、クリエイティブユニット「color/カラー」を結成。プロダクトデザインの企画、広告のコピーライティング、Webムービーの脚本など、幅広く活動。著書に「レモンエアライン」がある。東京在住。

color / www.color-81.com
レモンエアライン / lemonairline.com
contact / akiko@color-81.com

◎なぜショートストーリーなのか
日常のワンシチュエーションを切り抜く。そこには感覚的なうま味が潜んでいる。うま味の粒をひとつひとつ拾い上げ文章化すると、不思議な化学反応が生まれる。新たな魅力が浮き上がってくる。それらをたった数行のショートストーリーでおさめることに、私は夢中になる。

イラストレーション
山口洋佑 / yosukeyamaguchi423.tumblr.com