好きに溺れる甘い堕落。
冷えて固くなったフレンチフライドポテトを、ポッキーの要領で細かく口の中に進めながら、知らないジャズの知らないトランペットを聴きながら、(いや聴いてない気配を感じてるだけ)ぬるいビールを“ぬるいなー”としぶしぶ喉に運ぶのが好き。
このパンフレットをお配りしています、と何かの説明をしてくれるお姉さんのパンフレットの表紙が、蛍光灯の光でテラテラと輝いて、誰の手垢もついてなくて、とても薄くて、きっとつまんないイラストなんかが満載の、ただのパンフレットが異常に魅力的に見えて好き。
眼科に行くと、こちらに座ってくださいと言われ、双眼鏡のような機械の前に座ると、この中を覗いてくださいと言われ、素直にその中を覗くと、荒野が広がり、真っ直ぐな一本道が果てしなく続き、地平線の先にはカラフルな気球が浮かんでいて、あぁこのままずっと見ていたい!と願ってしまうほどこの風景が好き。
*「電車は遅れておりますが」 は毎週火曜日に更新しています。