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2:47PM〜にたぶんふさわしい内容。

ハンバーガーショップのラジオからは、スペイン語が聞こえてくる。(学生時代の第二外国語がスペイン語だったからなんとなくわかる)中年女性のパーソナリティと、若い男性のゲストとの会話が繰り広げられている。昼下がりのまったりムード満載、といった感じだ。

中年女性は大爆笑、若い男性はジョークらしきものを連発していく。“僕はモテない。どうしたらいいでしょう?”といった内容らしかった。トークの合間に曲が流れてきた。悲しみにむせび泣くようなトランペットのイントロ、女性ヴォーカルの艶っぽい歌声。たぶん“あなたが朝も夜も忘れられないの”らしき内容だった。

ハンバーガーショップのカウンターの奥から、皿が数枚(たぶん6枚〜10枚くらい)割れた音がした。その瞬間、家の冷蔵庫には卵があと1個くらいしかないことを思い出した。コーヒーの残りを飲み干したら卵を買って帰ろう。

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電車は遅れておりますが

ふわっと映像が浮かんで、
こころが6.6グラム(当社比)軽くなる。
ワンシチュエーションでつづる、
シラスアキコのショートストーリー。

自分がジブンにしっくりくる感じの時は、気分がいい。
こころと身体が同じ歩幅で歩いているのがわかる。
いつもこんな感じで生きていきたい。

でも、かなりの確率でイライラと聞こえてくる
「お急ぎのところ、電車が遅れて申し訳ございません」。

そんな時は“ここじゃないどこか”に、
ジブンをリリースしてしまおう。
きっと気持ちの針が、真ん中くらいに戻ってくるから。

シラスアキコ Akiko Shirasu
文筆家、コピーライター Writer, Copywriter

広告代理店でコピーライターとしてのキャリアを積んだ後、クリエイティブユニット「color/カラー」を結成。プロダクトデザインの企画、広告のコピーライティング、Webムービーの脚本など、幅広く活動。著書に「レモンエアライン」がある。東京在住。

color / www.color-81.com
レモンエアライン / lemonairline.com
contact / akiko@color-81.com

◎なぜショートストーリーなのか
日常のワンシチュエーションを切り抜く。そこには感覚的なうま味が潜んでいる。うま味の粒をひとつひとつ拾い上げ文章化すると、不思議な化学反応が生まれる。新たな魅力が浮き上がってくる。それらをたった数行のショートストーリーでおさめることに、私は夢中になる。

イラストレーション
山口洋佑 / yosukeyamaguchi423.tumblr.com