ひなたのしわざ。
ヒュルルルと冷たい風が吹き荒れているから、彼女は口元をマフラーの中にすっぽりと隠している。そして、ほとんど風に押されながら歩いている。寒い。早く教室に到着したい。友達とバカなことを言い合って笑いたいと願う。通りを曲がり商店街に入ると、風は嘘のように姿を消し、縁側のような暖かさに満ちていた。ヒカリに投影される細かい粉のようなものは、ホコリなのだろうか。ふわふわとダンスをしているようで可愛らしい。彼女の目は糸のように細くなっている。今度は歩きながら、眠気とのたたかいが始まった。
ヒュルルルと冷たい風が吹き荒れているから、彼女は口元をマフラーの中にすっぽりと隠している。そして、ほとんど風に押されながら歩いている。寒い。早く教室に到着したい。友達とバカなことを言い合って笑いたいと願う。通りを曲がり商店街に入ると、風は嘘のように姿を消し、縁側のような暖かさに満ちていた。ヒカリに投影される細かい粉のようなものは、ホコリなのだろうか。ふわふわとダンスをしているようで可愛らしい。彼女の目は糸のように細くなっている。今度は歩きながら、眠気とのたたかいが始まった。
ふわっと映像が浮かんで、
こころが6.6グラム(当社比)軽くなる。
ワンシチュエーションでつづる、
シラスアキコのショートストーリー。
自分がジブンにしっくりくる感じの時は、気分がいい。
こころと身体が同じ歩幅で歩いているのがわかる。
いつもこんな感じで生きていきたい。
でも、かなりの確率でイライラと聞こえてくる
「お急ぎのところ、電車が遅れて申し訳ございません」。
そんな時は“ここじゃないどこか”に、
ジブンをリリースしてしまおう。
きっと気持ちの針が、真ん中くらいに戻ってくるから。
広告代理店でコピーライターとしてのキャリアを積んだ後、クリエイティブユニット「color/カラー」を結成。プロダクトデザインの企画、広告のコピーライティング、Webムービーの脚本など、幅広く活動。著書に「レモンエアライン」がある。東京在住。
color / www.color-81.com
レモンエアライン / lemonairline.com
contact / akiko@color-81.com
◎なぜショートストーリーなのか
日常のワンシチュエーションを切り抜く。そこには感覚的なうま味が潜んでいる。うま味の粒をひとつひとつ拾い上げ文章化すると、不思議な化学反応が生まれる。新たな魅力が浮き上がってくる。それらをたった数行のショートストーリーでおさめることに、私は夢中になる。
イラストレーション
山口洋佑 / yosukeyamaguchi423.tumblr.com