フライドポテトの食べ方その一。
目の前の彼女はテーブルにひじをつき、両手で頬をおおったまましゃべり続けている。私はうなずくタイミングを用心深く計りながら、フライドポテトをつまむ。“そうなんだー”“ようすみてみたら”など、あいまいな返事の合間に1本、また1本。フライドポテトは、恋愛相談と相性が良い。“フライドポテト”という語感に明るさがあるし、ポテトを口に運ぶ動作が、物事の深刻さを少しだけ軽くしてくれる。(指でつまむのもいいが、フォークで刺して食べても可愛い)彼女の言葉を要約すると “かれがれんらくをよこさないのはどうしてなんだろう、もうだめかもしれない”ということだった。そして彼女は1本のフライドポテトを手に取り“あはは”と笑ってくれた。よかった。放課後から3時間がたとうとしていた。