薬のランチボックス。
木でできた救急箱を開けると、ほのかにバンドエイドの匂いがした。小さくて四角い空間に、薬たちはサンドウィッチやプチトマトのように行儀良く佇んでいる。真っ白な包帯は密やかに丸まり、オレンジ、グリーン、イエローのカプセルは風邪薬や頭痛薬。それらは色彩も美しく、透明のビンや長方形のパッケージに眠っている。細長い銀色のピンセットは、一度も使われた形跡がない。うちの家族はあまり薬を必要としていないようだった。口の中から出した人差し指の血は、いつの間にか止まっていた。木の蓋をゆっくりと閉じる。遠くで電話が鳴っている。私はそっと息をひそめている。