ブラウスがクリーニングの旅へ出る。
クリーニング店の自動ドアがあくと、洗剤の残り香とビニールの匂いに迎え入れられた。白いカウンターに、シルクのブラウスを一枚置く。お店の女性は、ブラウスを目の高さまで持ち上げると「こちらはドライクリーニングになります」と言った。ブラウスは銀色のワイヤーでできた大きなカゴに入れられ、ドライクリーングをする衣類として分類された。
フィフティーズの曲が聴こえている。この店ではいつも小さくラジオがかかっている。天井には細いレールが仕込んであって、シャツ、ワンピース、スラックス、季節外れのコートなどが、透明のビニールをまとって規則正しく吊るされている。とても美しい風景だ。
女性は仕上がりの日をカーボン用紙にボールペンで書き、控えを切って自分に渡した。すべてが濁りのない事務的なやりとりだった。